新年あけましておめでとうございます。

年明け早々、親の介護の問題についてこちらから一方的に親に怒り散らして(親自身は自分が私に対して負担をかけてるという自覚がまったくないため、親からすると寝耳に水の私の怒り)、新年早々すっきりする一方でちょっと反省などもあるスタートでした。
介護する方もされる方も綺麗事では済まないものですね。

さて、新年で気持ちもなんとなく改まる気がする季節です。
年のはじめのご挨拶で私の敬愛する先生から「また緩和ケアのことでわからない時には相談しますね」と言っていただき、私の大好きな先生からそんな風に言われるなんて身に余る光栄でした。確かに緩和病棟のあるような病院勤務から何もかもお一人でしないといけない病院に異動されてご経験のない緩和ケアをするのも大変なものです。

このやりとりをしていて、私が最初に緩和ケア病棟で学んだことを思い出しました。
医師になった時に、将来的には緩和ケア領域で仕事をしたいと思って麻酔科に入局した私は大学病院で1年間麻酔科勤務をした後、社会保険神戸中央病院(当時)に医局人事で異動し麻酔科で仕事をしていました。当時の麻酔科部長が半年間緩和ケア病棟研修を許してくれ、故八木安生先生のもとで研修させていただきました。

緩和ケア領域では医療用麻薬を使うので、どうしても便秘になりがちです。そのため便を出すのに一生懸命です。患者さんはどんどん体が弱ってトイレにも自力で行けなくなってきます。そして看護師さんに介助してもらって便を出すのです。つい最近まで自分でトイレに行っていた人が他人に便の処理をしてもらうというのは、かなり心の抵抗が強いことです。
一般病棟では看護師さんは黙々と便の処理をしていました。ところが、この病棟では明るい看護師さんが揃っていて、便が出たらみんなで拍手をしてよかったよかったと喜んで処理をするのです。そのテンションの高さと明るさにそばで見ていた私も驚きましたし、患者さんも驚いていました。患者さんは申し訳ながっているのですが、看護師さんがみんなして喜ぶので、便をして申し訳ないという気持ちが少し和らいだようでした。
その後、他の病院の緩和ケア病棟で研修をさせていただいた時も看護師さんが明るくて、みんな便が出るのを喜んでいましたし、自分が在宅医療領域にて仕事をするようになって一緒に働く訪問看護師さんたちも、みんな便が出るのを喜んでいます。
この、便をしたらみんなで大喜び、当たり前のようにしてきましたが、そういえば一般病棟ではこんなテンションではなかったかもね、と思ったのでした。
お医者さんにいたっては、患者の便がどんな便かなんて興味を持っていないとか、便が出ていても見ないとか、便処理は手伝わないとか言ってて「まじっすか」と思うのですが、それが標準?なんでしょうか?
しかし、緩和ケア領域では便を出すということを抵抗感なく委ねてもらえるようにみんな心を砕いています。そんなケアがどんな地域であってもどんな病院であっても受けることができるようになるといいなあと思います。