私が大切にしている仕事の一つは、介護職員への研修です。

今日は外勤先の医療法人千春会のもつグループホームに行って来ました。私の担当患者さんが老衰により終末期を迎えています。この施設での第二例目の看取りになります。私の大切な患者さんが安らかに満足して旅立ってもらえるようにするには介護の皆さんの力無くしては成り立たないので、忙しい中時間を作っていただいて、研修を受けてもらいました。

介護施設で看取りを前に研修が行われることはほとんどありません。みなさんこわごわ、そして、嫌々、亡くなりつつある方に接しています。

看取りを経験するにあたり、きちんと研修を受けていれば適切に対応することができます。そして最期の大切な時間をご一緒するということの素晴らしさを実感することができます。この素晴らしい人生経験を仕事にできる誇らしさを感じながら働くことができます。

一方で研修を受けていなければ亡くなりつつある方に接するのは怖い、自分が担当しているときに亡くなったら怖い、どう接していいのかわからない、次に部屋に行ったときに亡くなっていたらどうしよう。こうして施設内の死亡を何度か経験して「こんな人が死んでばかりの職場は嫌だ」と離職につながります。

人が亡くなることについての研修を受ける意義、死亡前の生理学的変化、死亡前の人がどのように物事を感じるのか、亡くなりつつある人にどのように接すればよいのか、亡くなるその瞬間についての状況、旅立ちのその瞬間に居合わせる必要はないこと、最期の時神話(「なくなる瞬間にお礼を言って亡くなった」「亡くなる瞬間、〜と言って亡くなった」など亡くなる瞬間のコミュニケーションについての素晴らしさを語るもの)に縛られる必要はないこと、旅立ちの時はご本人が決めることで、見送る我々はその瞬間を捉えることが困難であること、そして旅立った後のこと、などについてお話ししました。

これまでも研修をして来ましたが、今回は内容を増やしたのでやや長くなり、45分くらいかかりました。

質疑応答も最初は遠慮がちでしたが、実際に亡くなりつつある方についての接し方をどうするべきか、いろいろ戸惑いつつ質問が出ました。

この施設のスタッフが「人が亡くなるのは怖いことではない」と実感して、千春会の法人の他の施設同様にどんどん施設での看取りを引き受けるグループホームになって、地域の中で終の住処として信頼される施設の一つになって欲しいなあと思いました。

これまでの研修は全て私が「研修の講師をさせていただきたい」とお願いしてやって来たことばかりです。介護施設で初めての、あるいはほぼ初めての看取りのときには看取り研修を申し出ています。これは自分が大切に思っている方を大切に見送るためにはご家族に対してであれ、介護の皆さんに対してであれ、知識を身につけていただくことで怖い経験ではなく得難い経験にして欲しいからです。

今後も頼まれもしないのにどんどん研修をしていきたいと思っています。