今週はご遺族訪問に2件行って参りました。

去年の今頃、新規症例が一気に増えて、同じ病名の方が続き、癌末期の方が続き、本当に忙しく頭が混乱し、つらい夏でした。

その中で症状コントロールが難しい方が続き、相次いで亡くなられました。

疼痛コントロールはなんとかなるのですが、せん妄、炎症性疾患のコントロール不良、腹部膨満、浮腫などなどがコントロールできず、ご本人の苦しみが続き、ご家族にとってもつらい日が続き、これを支える私にとっても厳しい日々でした。

在宅で看取りをする方については実に穏やかに見送ることが圧倒的に多いのです。というか、穏やかだから在宅で看取りをできるとも言えます。あまりにつらい場合は病院に入院となってしまいます。入院になるかどうかはご本人とご家族のご意向に従いますが、症状がきつくても在宅で見続ける覚悟をされるご家族もいらっしゃいます。去年の夏は症状が厳しくても、病院が嫌だとおっしゃるご本人のお気持ちを大切にされてそのままご家族が家でみると決心された方が続いたのでした。

症状コントロールが今ひとつで終わった場合、どうしても私自身辛い気持ちから解放されることがありません。これまでにない辛さ、連続でしんどい症例が続く辛さ、それを一年拭うことができないままでした。さらにお二方とも亡くなって1ヶ月後に行くお参りを申し出るもご多忙やその他の理由でお参りに行くことができなかったのも私の中で終わらない理由の一つなのかもしれません。季節の変わり目にご挨拶のメールを出したりなどして心を寄せていましたがすっきりしませんでした。

そしてお亡くなりになって一年となり、勇気を振り絞ってお参りの申し出を致しましたところ、二件とも快く迎えてくださいました。それぞれのご家族は、それぞれの一年を経て、それぞれの癒しを得ておられました。

私は症状コントロールがうまくできず申し訳無かったことをお詫び申し上げました。ご家族はその方の中に残る心残りについてお話しされ、しかしそれは心残りに思うことではないと私が常々考えていることで、実際にお亡くなりになる前にもお話させていただいていたことを繰り返し申し上げました。私は心からのお詫びを伝えることで、そしてそれが赦されたと感じ、救われました。それぞれのご家族は私に対して深い愛情をくださり送り出してくださいました。

これで本当に私の中でこの方々の看取りが終わりました。グリーフケアはご家族のためのケアにとどまらず、医療者のケアも含まれるのだなあとしみじみ思いました。

自分の中で終わらない夏が一年を経てようやく終わりました。大切な患者様のご冥福をお祈り申し上げます。