今年の台風は、去年のような恐ろしいものになりませんようにと祈りながら台風通過を待っております。

九州四国で被害に遭われた皆様、お早い復旧をお祈り申し上げます。

さて、最近脱水症の方がたくさんいらっしゃいます。それが、冷房の効いたお部屋でのお話なのです。ぐったりして寝ころんだまま座れなくなった方、元々の病気が悪くなって食事がとれない状態の上に暑さもあって脱水状態になっている方、脱水状態のベースがあるうえにトイレで排便して低血圧になって顔面蒼白になっている方(排便後の低血圧は迷走神経反射と言います。脱水があると、迷走神経反射が起きやすいです。)など。

冷房って結構体が渇くのですよね。だから冷房していても脱水には十分ご注意ください。

点滴したあとすごく体が楽になるので、点滴って魔法の水?!みたいに思われているようですが、あれは単に塩水にちょっとブドウ糖が入っているだけです。あれを栄養剤のように思っておられる方もいらっしゃると思いますが、それは違うのです。

人生の最終段階になると食事が入らなくなります。一生懸命周囲の方が工夫しても入らなくなることがあります。そのようなときに「先生、点滴で栄養入れてください」と言われたりするのですが、栄養になる点滴は中心静脈栄養といい、胸にある太い血管からでないと、入れることができない栄養剤です。なぜ太い血管からでないと入れることができないかというと、濃度が濃すぎて、普通の腕の血管などから点滴すると、血管炎を起こしてしまうからなのです。

そして人生の最後の時期に食事が入らない状態で、塩水の点滴ばかりしていると、血がますます薄まってしまって、体に浮腫(むくみ)を作ってしまうのです。体に浮腫ができると、肺にも浮腫ができてしまい、血管と肺胞の間もむくみでぶ厚くなって酸素、二酸化炭素のガス交換がしにくくなり、息苦しさを作ってしまいます。ですから人生の最後の時期に点滴をするのは浮腫が出てくるまで。浮腫が出てきたらもう点滴は逆にしんどさを作ることになるので控えましょう。

ここで疑問がわきますね。

食事が入らない。そして点滴をしても本人を苦しめる。胃瘻も人生の最終時期にはお勧めではないという。じゃあ、この状態でどうすればいいのか、と。

それはなかなか難しい問題です。単純に「点滴はだめ」と言われても、「ではどうすればいい?」と悩みます。この「食べられなくなったらどうすればいい?」についてはまた次のブログを早めに書くようにいたします。