慢性の病気をもちつつ、
自宅での生活をするかたの療養生活を
サポートします。
私はもともと麻酔科医で、外科など他科の患者さんの手術麻酔を主な仕事としてまいりました。手術の対象となる病気だけでなく、もともとの持病も踏まえ病状をしっかり把握して準備し、手術中の安全を守る仕事です。いろいろな病気について勉強してきましたので、あの病気はこの科の病気、この症状はその科の範囲の病気、など麻酔科以外の科の病気についても幅広い知識があるのが在宅医としての強みです。
学生のころから緩和医療を志しておりました。何科に進むかを選ぶときに、つらい症状の中でもっとも代表的な「痛み」を取れる専門家になりたくて麻酔科に入りました。麻酔科医として集中治療室・手術室で働くかたわら、緩和ケアの研修や講習を受け勉強を重ねる中で、「在宅緩和医療・在宅ホスピス」という概念が出てきたことを知り、見学するなかで「家で過ごすということ」の素晴らしさを実感しました。病院では「患者さん」でしかない方々が、おうちでは「お父さん」であったり「お母さん」であったりするのです。病気を持つ人、ではなく、家庭人であったり社会人であったりするのです。病院では緊張している方が、自宅ではひとりの人として、安心して過ごしておられるのを拝見し、在宅での療養の力を知りました。
在宅で療養するというのなら、がん末期の方ばかりでなく、一般の高齢者や難病の方も家で療養するのではないか、その方々を支える医療にかかわりたい、そのように考えて麻酔科から在宅医療の領域に転向しました。