一応高齢者医療をしている人間として、高齢者の特性はそれなりに知っているつもりですし、適切なる対応がどのようなものかも知っているつもりです。

しかし、実際に自分の親に対してどんな対応をしているかというと、かなり悪い対応をしていると自認しています。

そんなものですよね、人間だもの。

父から電話がかかってきて、要領を得ない内容で、「それは私ではなく、いつも診てくれている主治医にいうべし」ということがしばしばあります。

私は自分への負担が大きくなりすぎるのを防ぐためと、透析主治医の把握できない処方が発生しないようにするため自分の父には一切処方をしないようにしています。透析の主治医に任せるなら任せ切らないと、主治医と父との信頼関係を壊すことになりますし、主治医の把握できていない処方が発生することは本当に問題であることを理解しているからです。

医療機関が患者の要求をすべて満足させることはできません。すると父は私のところに電話してきてあれやこれやと体調の不良について訴えます。自分の患者であればやさしく話を聞いて対応するのですが、私は父の医療に関しては決してタッチしないと決めています。答えはいつも決まっていて「それは私ではなく、主治医に訴えてくれ」の一点張りです。私が父の要求にこたえていては主治医の立場を壊してしまうからです。

私が相手をしないことをわかっているのに、あれやこれや要求してくる父に声を荒げて怒鳴りつけることもしばしばです。一度幼きわが子から「お母さん、おじいちゃんは病気なんだから、もっと優しく言ってあげないと、だめだよ」と諭されて非常に反省いたしましたが、「あんただって自分の親があんなんだったら、きっと怒鳴るよ。」と幼きわが子に反論してしまいました。

そんなわけで、一応プロと名乗っている人でも、リアルの生活ではこんなものなのですよ、という恥ずかしいところをご披露いたしました。

わかってはいてもイライラするし、怒鳴りたくもなるし(私は怒鳴りつけています)、高齢者を支えるって言葉ではきれいに言ってても、きれいごとでは済みませんよね。

みんな、鎌田實先生に学んで「頑張らない、あきらめない」でいきましょうね。

介護をしているみなさん、「頑張らない」、ですよ。

そして周囲の人も「頑張ってね」じゃなくて「よくやってるね」って声をかけてあげてくださいね。

先日趣味でやっている書道の先生に「頑張ってくださいね」と言われて反射的に「頑張りません、楽しみます」と答えてしまいました。私の中で「頑張らない」、は大切なことです。

長丁場。頑張らない、あきらめない、自分を大切に、後悔は最小限になるように。

みなさん、頑張らないでいきましょうね!