介護職の方や一般職の方と話す機会があり、「医療VS介護職や一般の方との溝は深~~~~い」と感じたのでメモ。

介護の現場では90歳の人が症状もなく元気にしていて、訪問医も特に問題ないとして診療をしていたのだと。で、調子が悪くなり検査をしたら癌の末期状態であったと。

→これ、医療からすれば「ふむ。よくあることですよね。」でおわります。

→介護の現場では「やっぱさー、訪問診療なんてしてる場末の医者ってヤブだよねー。ずっとみてるくせに、なんも気づかないんだもんね。医者がヤブだからどうしようもないよねー」

とのこと。

私の中から、「ふしゅううううううううー」と空気が抜けていくようなコメントでした。

で、ここで最も問題なのが「悪者探しをする」ことです。

悪者探しは百害あって一利なし。悪者とされた人がどうして連携の輪に機嫌よく入ることができましょうか。

次に「病気は全て見つけて治療のラインに載せるべし」という考え方がもう今の時代にはマッチしていないということ。超高齢者は探せば病気はあって不思議ではありません。でも、病気を探して積極的治療をする事で、元気な老人を「病人」として辛い治療に晒してしまうことがいいこととは思えません。元気なのであれば、様子見でいいと思うのと、しんどさが出始めたらいち早く動く、というのがいいと思うのです。

 そしてここで「というわけで介護職ってやっぱなにもわかってないよなー」と新たな「悪者探し」をすることが問題になります。

誰が悪いのではない。多職種連携においては悪者を探すことなく情報共有し、互いに患者利用者のために同じ方向で動くことが求められるからです。

カリフォルニア娘症候群というものがあります。

これは「カリフォルニアから帰ってきた娘が、状態の悪い親を見て激怒、介護者を罵倒する」という「アルアル」ネタなのですが、更なる問題は「患者のそばにいる介護者が、『滅多に帰省しないで状況もわかってない親族は、これだから困る』と遠方の親族を悪者に仕立てあげる」ことです。

 遠方の娘がもつ元気な親のイメージと、現状の調子が悪い親のリアルイメージのギャップは非常に大きく、そばで段階的に悪くなっていくのをみていた介護者たちとは状況がことなることを理解し、イメージギャップの大きさに対して理解を示し、その結果大きな感情が生まれることを理解していることをカリフォルニアの娘に伝えることが必要です。

一番問題を起こす人は一番「悪い人」ではなく一番「困っている人」なのです。

私たちは「困っている人」を援助しなくてはなりません。

このように「悪者」とされる人は立場により様々です。

ですが、誰も自分のことを悪者だなんて思っていないし、悪者と認定されて気分を害さないはずありません。

介護の立場の人から見れば医師は悪者に思えるかもしれませんし、医療職から見れば介護職は頼りにならない素人で耳を傾ける余地などないと憤慨するかもしれませんが、医療介護連携においては「悪者探し」は止めること、そしてするべきことは「問題の整理と解決」です。

問題となる症状がどうすれば緩和されるのか、問題となる行動を起こす人に対して心理的な問題を解決するための方法などを考えること、です。

まあ、実は一番難しいのは「本当に医師が問題行動を起こしているとき」だったりするので、常に胸に手を当てて振り返るように努めています。ハイ。