アイキャッチ画像は、まるで外国の公園のようにもみえますが、実は京都御苑内。出水の小川近くです。
街の真ん中の豊かな場所がほんとに近くにあるのに行けないのが残念です。
行く気を起こさないと行けないものですね。

在宅医療においては病院での医療よりもパーソナルスペースにはいることになり、濃密な人間関係が構築されます。それが魅力ですよねー。(*^^*)
この濃密な人間関係を構築するにあたり必要なコミュニケーションということについてのお話です。

みなさん、「ニーズ」って言葉や「デマンド」って言葉をご存じでしょうか。どちらも「必要性」「欲求」というような日本語訳があてられるものですが、違いをご存じでしょうか。

まず、ニーズという言葉は客観的に必要性があり、「それがなければ生活が回らない」というような必要不可欠な要素に対する欲求です。三大介護の「食事」「排泄」「清潔保持」の必要性などについてはこれに当てはまるものが多いかと思います。時には必要不可欠なものも含まれます。

一方でデマンドとは「さらに望むならば」、というような要望のことで「こうなったらうれしい、あれば助かる」というものになります。

介護される人やその家族が「何と言ったか」ではなく「どういう気持ちでそう言ったのか」が重要になります。
ニーズとデマンドの線引きには客観性も大切です。
しかし、客観的に見て「あれば助かる」程度に思われることでも、本人にとって「なければ困る」のであればそれはどうしてなのか、それがない場合にはどのように代わりとなるものを提供すればいいのかなどの検討が必要になってきます。
コミュニケーションを通じてどのような気持ちでの発言なのかをさぐり、このコミュニケーション技術に裏付けられたアセスメントが必要になってくるかと思います。

と、教科書的に書きましたが、もっとくだけた言葉で言うならば「えー?それ、要る?(笑)」みたいなことを言われたとき、どうすればいい?
なんでもかんでも言いなりになって求めに応じることが支援ではありませんよね。医療資源にも限りがあるわけですから。

ここで当事者と支援者の間にギャップができていますよね。
「こうしてほしい、これが必要なんだ」という当事者と「そこまで必要ですか?」と思う支援者。
こういう認識のギャップがあるときに必要なことは何でしょうか?
何でもかんでも言いなりになって求めに応じることもできない。
その要求には応えることができないと伝えなくてはならないときに必要なものは何でしょうか?
・・・・上手に説明するための知識?・・・・説明能力?

わかる方はもうわかっていただけると思います。
応えることができない要求がきたときに必要なものは
「聞くこと」
です。
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医療従事者によくある「説明してるんだけど、『入らない』んだよねー。(笑)」
「ほんと、『わかってない』よねー」

これは「説明している から 『入らない』」んです。
説明を一生懸命してますね。その間患者さんやご家族の話をさえぎっていませんか?

患者さん、ご家族は自分の不安や困りごとなどを抱えています。
それを解消したいと望まれても、医療者から見れば「過ぎた要望」に思える、すなわち「デマンド」に思えることも多いものです。
それでも、当人たちにとっては「必要不可欠」な「ニーズ」という認識になっている。

まず、話している人がどんな思いで話しているかを聞いてみませんか?
相手が「聞いてくれない」んだと思うとき、きっと相手もあなたのことを「聞いてくれない支援者」だと思っているんじゃないでしょうか。
だって、けんかのときなど、自分が腹を立ててるときは相手も腹をたてているものですよね。
相手に「怒ってる?」と聞いたらたいてい「うん」といわれますものね。(実体験)

相手のことを「聞いてくれないなあ」と感じるとき、きっと相手もあなたのことを「聞いてくれない人だ」と感じている可能性が高いです。
まず、相手の気持ちを聞いてみましょう。
そこからコミュニケーションが始まるんじゃないかなと思います。

まあ・・・現場は、手ごわい、ですけどね。
でも、まずは聞くことから始めてみませんか。