第1回

いつもは在宅医療現場の患者さんやご家族のお話をしておりますが、今回は、私が日頃ご家族や介護職、看護職にむけて行っている「看取りの安心勉強会」のお話をします。

「看取りの安心勉強会」は、もともと「看取りの勉強会」と言っていたのですが、「看取りの勉強会」を行う、と言うと、皆さんの顔がこわばるので、せめて名前だけでも、と「安心」をつけたのです。

この勉強会を聞いていただくと、皆さんニコニコ笑顔になられます。そして、「なーんだ、いつも通りでいいんですね」「ほっとしました」と言っていただけます。

このブログを読んでくださる方にも大切な方を見送る時期にある方や、あるいはかつてそのような経験がある方もおられることと思います。そんな皆さんに「安心」していただけたらなと思います。

そもそもこの勉強会は、看取りを初めて経験する施設の介護職員の皆さんに向けてしたものです。それをあちこちの施設で介護職員にさせてもらって(介護職員のみなさんはお忙しいので、お時間をいただきたいと頭を下げて、勉強会をさせてもらっています)いたのです。

そのような介護職員さんへの研修とは別に、もう亡くなりそうな患者さんの診療の時に、ご家族に看取りの説明をするときにもこの勉強会をしています。介護職向けの勉強会資料のスライドをタブレット端末で見せながらしてみると、本当にやりやすいと感じ、ご家族に集まってもらって勉強会形式で説明するようにしたものです。

皆さん、「看取りの説明をする」と言われたら、顔がこわばるのですが、どんな説明をされると思っておられるのでしょうか?お尋ねすると「怖い説明をされると思っていた」とおっしゃいます。

そうですね。実は在宅医療の学会で、いわゆる重鎮の先生が「『ザイタクでの看取りには、ご家族に…覚悟が‥‥必要です!』と説明しています」とおっしゃっていて、私は心底腹が立ちました。私の心の中の声は、(大阪弁で恐縮です)「オッサン、やめとけや!そんなアホ言うから、みんな怖がるんやんか!見たことないもんに覚悟なんかできるか、バーーーカ!覚悟が必要なんは、医者と看護師や!シロウトに覚悟なんか求めんなよ!」というものです。私の怒りがおわかりいただけたでしょうか。

「覚悟してください」って…言われて安心する人はいませんね。ギャングのボスが銃口を突き付けて「覚悟しな」と言うときは脅し文句ですものね。「覚悟が必要な時期になってきました・・・・」このような説明で、患者さんの残り時間が少ないことを説明している医療職のみなさん、このような説明はやめませんか?

ご家族のほうから「そろそろ覚悟しないといけない・・・ってことですよね。」とおっしゃることがあります。そんな時には私は「覚悟ぉ?覚悟なんて、いらんいらん。見たことないもんに、覚悟なんてできないんじゃないですか?覚悟は私がしておりますから、お任せください。皆さんに必要なのは、覚悟ではなくて、知識です。知っていただくことでこれから起こることが怖いものではないとわかってもらえると思いますよ。」とニコニコしながらお答えしております。

次回からニコニコできる勉強会をブログ上で開催いたします。