先日、愛犬を亡くされたという方とお話をしました。

ペットロスという言葉はよく聞くことですが、実際にペットを亡くされて抑鬱状態になることもしばしばあることです。

「新しくまた飼うといいですよ」とも言われますし、新しいペットが家の中にいるとたしかにいないよりは楽しくていいものです。

とはいえ、新しい子は新しい子。前の子とは違う個体です。同じに扱うのは前の子に対しても新しい子に対しても失礼というものでしょう。

私も犬を亡くしてそろそろ2年になります。

愛犬を亡くされたこの方のお話を伺っていて、私も涙が出て出て仕方がありませんでした。

こうして文章を書いていても涙が出てきそうになります。

愛犬のことを思うと涙が出るのはもはや条件反射か?と思うくらいの涙っぷりです。

といっても、実は悲しいわけではないのです。

私たちも愛情をたっぷりかけて育て、また犬からも大いに愛をもらった日々を過ごした。素晴らしい犬だったし素晴らしい時間だったのです。そして穏やかに旅立っていったのです。

何も悲しいことはありません。

ただ、ああ、あの犬が今もいたらいいのになと思うのです。

自宅には今、亡くなった犬の姪にあたる雌犬と、犬が亡くなった後に我が家にやってきた同犬種の雌犬の二匹がいます。

ですから寂しいということはありません。

でも、新しい犬を飼っても前の犬とは違うのです。

前からいる姪っこ犬は、叔父犬が亡くなる前はいたずらっ子でよくはしゃぐ犬でしたが、人が変わった(犬が変わった?)かのようにひっそり静かになりました。まるで亡くなった犬が乗り移ったかのようでちょっと怖かったです。一匹になったから寂しいのかなあと思っておりましたが、新しい子犬がやってきてももうあまりはしゃぐことはなくなりました。

新しい子犬は前の事情など知らず無邪気に跳ねまわり、若い犬特有の可愛らしさで和ませてくれます。

でも、もう今はいないあの犬の穏やかな優しさに会えないことが寂しくて、それは新しい犬が埋めることができない寂しさです。

もうそろそろ2年になろうとしていてもこのように寂しさは相変わらずで、犬を思うと涙が出ます。でも、それでいいのだと思うのです。忘れられなくていいと思います。涙が出ていいと思います。

悲しくはないのです。寂しい気持ちとともに日々を過ごしていけたらいいなあと思っています。