父が危篤状態でした。今は復活しています。

6月14日月曜日。父が通う透析クリニックから慌てた調子で電話連絡がありました。
「脈が30くらいで、心肺停止に近い状態です!救急搬送します!」
「あらあら。そーですか。意識レベルは?1桁(呼びかけると返事する意識状態)?救急搬送先が決まったらまたご連絡ください。」と一旦電話を切りました。
そして、思いついて、再度透析クリニックに電話をしました。
「あ、DNAR(人工呼吸や心マッサージなど蘇生の開始を差し控える)でお願いします。」と付け加えました。
・・・そうか、急だな。
でも、認知症も発症せず、大きな介護も受けず、みんなに大切にされてフラリ旅立つのは父らしいんじゃないかと思いました。

救急搬送されたところに私が行っても何もできるわけじゃないので、とりあえずするべき自分の仕事をつづけました。
移動の合間に東京に住む妹たちに連絡し、「来れなかったら来なくていいよ」と言いましたが、妹たちも来てくれることになりました。姉とは連絡がつかず、義兄に伝言しました。

救急搬送先は、私の元職場に決まりました。
ここで父は脊柱管狭窄症の手術を2回受けています。
ここは透析センターもある病院で、父のかかりつけ病院です。
電話が入り、当時一緒に働いていた泌尿器科の先生が、丁寧に説明してくれました。
・搬入時、心拍は20回/分台で、もう、止まるかと思われる状態だった
・カリウムが7台であった(正常値は3~5程度) *カリウム7台と言うと「死ぬぞ!この人!!」と救急室がざわつくレベル*
・透析を始め、カリウムを下げる薬を飲ませたら、速やかに低下して、4台に戻った
・カリウムが上がった原因は、グレープフルーツを4個/日食べたためであった。しかも、1日だけではなく、5月末からずっとだったのだと。

あ?あ?あ?なんて?え?
透析患者は、果物はカリウムが上がるので制限されています。
グレープフルーツなら、1/4切れ程度まで。
それを4個って、4個って。
ふつーに4個食べるの、しんどいわ。
ほんま、アホですやん。

アホな理由で心停止しかけた父のために古巣に行くのも恥ずかしいけど、行かないわけにもいかないので、病院に行き、入院手続きなどをしました。
透析の先生から改めて丁寧な説明をしてもらいました。
いやはや、本当にお恥ずかしいことです。。。

入院となると、家族は患者と会えないと思っていましたが、ワクチン接種が終わっていることを確認されて、「今日は入院日なので、病室に入っても大丈夫ですよ」と会わせてくれました。
父に会うと、とぼけたことを言ってました。
「ワシな、腰が痛いんや。腰が痛うてな。セブンイレブン行くのも3回ぐらい休まなあかんぐらいやったんや。
クリニックについて腰が痛い言うとったら、なんや医者や看護師が10人ぐらい集まってきて、みんな大げさやなー、って言うとったら救急車乗せられたんや。」
父は救急搬送中もずっと腰が痛いんだと訴え続けていて血圧も下がって脈拍も止まりかけてんのにしゃべっていたそうです。
父に「ねえ、心臓止まりかけてたときでもしんどくなかったの?」と尋ねると
「なんもあらへんかったわぇ」ですと。
人って死にかけても自分が死ぬってわからんものなのね。。。
高カリウムで死ぬのって、楽でいいかもしれない。本当に。

みんな、「カリウムの値が」とか気にしてくださるけど、実は私としては父が高カリウム血症で亡くなるならそれでもいいなと思っていました。
それよりも、施設の目の前のセブンイレブンにまで3回休まないといけないほどのつらい腰痛のことを誰もわかってくれないほうが気の毒に思うのでした。
私自身は父に対しては、家族としてのみ対応していて、医療職としてはまったく関与していません。
透析主治医のしらないところで処方が出ることは深刻な医療妨害の問題になりますので。
だから、父の腰痛のことをもっと親身に考えてもらえるようにお願いしようと思いました。

その後、妹たちも来てくれて、ほっとしました。
3人でほっとしてご飯を食べにいきました。緊急事態宣言で、店がなくて夕食難民になりながら、ようやく晩御飯にありつきました。
京都駅周辺のホテルに投宿。私も一緒に泊まりました。
「あのさあ、死ななかったから笑えるけど、グレープフルーツ4個、毎日食べるってどうよ?でも、これで、たとえ死んでしまっててもやっぱり『グレープフルーツ毎日4個食べて死んだ』なんて笑うよなあ?」とみんなで爆笑しました。
「病院の外来で待ってるときに、麻酔科の外来に〇〇先生(かつての上司)がいたから、挨拶して『父が実は高カリウム血症で入院しまして。。。グレープフルーツ4個食べたのだそうです』って言ったら『負荷試験(どれくらいお薬などを投与するとどのくらいの反応があるのか?という試験)か!』って返されて、その返事が面白くてジワジワ来てる・・・!」と笑っていました。

念のため父は一泊入院し、翌日は元気いっぱいで退院しました。
妹たちが退院に付き合ってくれ、せっかく京都に来たからと三十三間堂に行き、大丸で天丼を食べたのだそうです。
いや、元気、元気。
退院時に、看護師さんたちがうすら笑いだったそうで妹は恥ずかしかったのだと。「あのグレープフルーツの患者さんの娘さん・・」ってことでしょうか。

いや、妹よ、大丈夫です。
以前整形外科の手術で2回の入院を経て、整形外科病棟では「オザキさん」と名前が出ただけで笑いが起こる存在になっていますから、今更・・・ですよ!
あと、この病院にうちの常勤医が週1回外勤に出てくれているのですが、その時、常勤医がうちの父と関係あることを知らない人までもが「こないだ救急でグレープフルーツ4個食べて高カリウム血症で来た人がいたんですよ!」って話題を聞いたらしいです。
もう、十分!伝説のオトコになっています。

妹尾崎英子のエッセイもどうぞお楽しみください。
http://www.boiledeggs.com/yudekagen/202107ozaki.html?fbclid=IwAR266INbWYkozcyQlYXTMX1JMc2I68vpJhOeeMgH_OgE2HIThEUsDFA2ZBA