日本在宅医学会という学会の全国大会がありました。
在宅医療系の学会は日本在宅医学会と日本在宅医療学会の二つがあり、いかにも紛らわしい学会なのですが、さすがにこれら二つの学会が統合されて連合学会となる予定です。
在宅医療をしている医師たちが「じゃあ、仲間を集めて勉強会をつくろうか」というノリで作られたことが想像できますね。
最初は医師が集まる学会でしたが、在宅医療の性質から多職種の集まる学会になり、さらに今後は医師、歯科医師、薬剤師の連合学会になりそうな様子です。

在宅医療は医師が踏ん反り返っていて成り立つ医療ではありません。もちろん、病院での医療だってそうなのですが、特に多職種の協働が必要になる分野です。

ほんの数年前までは実は在宅医療系の学会に行ってもつまらないと感じることが多かったのです。本音を言いすぎて失敗が多い私なので言葉に注意して言いますが、働き盛りを過ぎた先生方が在宅医療の担い手であると思われていた時期があります。その頃の学会の雰囲気はもっとまったりしていて、多職種のポスター発表が多く、ゆっくりした会合でした。特に目新しい催しもなく、学会に参加するより遠足に行く方がいいかな、という感じでした。

しかし、ここ数年様子が変わってきました。
「聞きたい!」と思う発表やシンポジウム、ワークショップが増えて、時間が足りないくらいです。
ポスター発表では発表者をつかまえてあれやこれや真剣にお話を突っこんで聞きます。
これはひとつには私の立場が雇われ人から開業医にかわったということもあるかもしれませんがそれよりやはり全国的に若い(といっても30ー40代)医師が在宅医療を本格的にやり始めて面白くなってきているということが変化の原因のように思います。

アクティブな事業所は以前からありましたが、数をこなしているだけでは?と思うような診療内容(引き継いだ後に前医の処方をみるとそのように判断せざるをえない)であったりして、大きな事業所だからいい事業所というわけではなかったようです。
しかし、今は一人ひとりに丁寧な医療を届けたいと願う医師たちが集まり互いに成長しあい高め合っている事業所が増えつつあるようです。

今回の日本在宅医学会や全国在宅医療医歯薬連合学会では、その熱い思いを持つ医療者たちとたくさん知り合い、大いに刺激を受けました。
訪問診療をする医師は、患者宅に出かけて行くだけの柔軟さをもっている医師が多くて、実は医師と交流するのが苦手な私にとって話をしやすい、楽しい医師が多く、大変楽しい学術集会でした。

ブログを読んでくださる一般の方には「なんのこっちゃ」と思うような記事かもしれませんが、在宅医療が大きなうねりをもって変わりつつある歴史的なその瞬間を目撃した感動をちょっと残しておきたいと思っての投稿です。

日本の医療を変えたい、自分が医療を受ける時までに患者としての自分の思いが医療者に届き反映される医療環境になってほしいと思っています。